二回目は、布の地直しについてです。
洋服のパターン付き本などを見ると、軽く書かれていることが多いですが、結構手間もかかる作業で大事です。
と書いておいて何なのですが、実はケースバイケースできっちり下処理する時と、ある程度だいたい布目が揃えばいいかなという感じでやる時と色々です。
地直しの目的は、これから仕立てる布地の目を揃えて整えること。買ってきたままの布地は、布のタテ(経)糸に対してヨコ(緯)糸が直角である筈なのですが歪んだりしていることが多いんですね。そこを水通ししてある程度縮ませてあげて、整えつつ干し、アイロンがけして直します。
素材によって地直し方法も多様です。今回は超初心者向けの説明ですので一番仕立てのしやすい「天然素材・無地平織りの中肉(シャツやワンピース用の厚み)の布」を例に説明します。布地は2m用意してください。
初心者向けの布は、天然素材=綿・綿麻・麻(リネン・ラミー・ジュート等)の「平織りの無地」素材になります。
化繊素材(ポリエステル)やニットは縫製の技術がいるので、ある程度縫物のキャリアを積んでから挑戦するほうが良いです。
柄物(ストライプ・チェック・プリント布)は柄合わせが必要になります。今回は柄合わせに関しては説明を割愛、又別にコラム記事にしますので、無地同様に扱える細かいものを選んで下さい。
ちなみにダブルガーゼは縫製が難しい素材ですので、超初心者にはおすすめしません。ミシンがけに自信がない人は、パリッとして居るタイプの布で服作りを学びましょう。ふにゃふにゃしている素材は縫うのが難しいです。
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【材料と道具】
天然素材の布(綿・綿麻・麻など) 2m
布切り鋏・目打ち
バケツやタライ・水
物干し竿(場)
アイロンとアイロン台・霧吹き
L尺(又は、金尺など直角を見れる定規)
①まず、布端をヨコ(緯)糸が真っ直ぐ通るように整えます。

布を買ってくると、大体こういう形で糸がボサボサしている状態だと思います。
布の耳がある方向が経(タテ)。緯(ヨコ)の糸がボサボサでてる事になります。この緯糸が一本真横に通って居る状態にしたいので、糸を抜いていきます。

糸を抜くと、道筋の様に透けてみえるのでそこをカットしていきます。

系を抜いて行ってみると、意外やかなり斜めで布が切られて居た事が判明。見た目で気が付かない事もあります。

②両端の緯(ヨコ)糸を真横でカットされて居る状態にして、タライに入れます。

水を注いで一晩置きます。
洗濯機で回すより、浸水して置いておくほうがいいです。
洗濯機で洗っても意外と水が全体に回りません。くしゃくしゃになるので干す時も大変になります。

写真は翌日の様子です。
余談ですが、結構色が水に出ることが分かりました。洗濯した時に特に別の服に色がつくのを気にする程でもないかな?という程度です。
色移り影響を気にする人は、こういう布を使用して作った服は、最初のうちは白い服との洗濯は避けたほうが良いかもしれません。
③布の水を切って干します。
出来るだけ歪まない状態で干すのがポイント。
この布は広幅(布地幅が150cm程)のリネン生地だったので、干場の関係上もありタテ二つ折りで干します。
水から上げてから布端を揃えるのは難しいので、水の中で布の耳同士を合わせてから引き上げて干します。
今回は風呂場に突っ張り棒を取り付けて、ぶら下げることにしました。


布端がタテ(経)に対して直角になるように整えて干します。シワなども出来るだけ伸ばしてあげましょう。
この時に真横かどこかが分からないと、直角を意識して干すのも難しくなります。そういう点でも①の布目通しの作業は大事になりますね。
④布が若干湿り気がある状態の時に、アイロンで平らに整えます。
布が完全に乾いてしまっている場合は、霧吹きで全体に湿り気を与えてアイロンがけをしましょう(綿・麻素材のアイロンがけの場合)。
アイロン台に布を広げ、布端に対してヨコ(緯)が直角になっているかL尺をあてて見ます。

多少歪んでいるところをアイロンで整えていきます。
可能なら、地直しが終わったらそのまま裁断の作業に移りましょう。
別場所に布を運ぶために折りたたむと、又折ジワが入ります。ゆるく畳むか、あれば紙筒に巻くと布が比較的シワになりにくいです。